プロポーカープレイヤーのなかでも、もっとも有名と言ってよいのがダニエル・ネグラヌ (Daniel Negreanu)です。若手が台頭するポーカー界において、47歳となった今でもトップに位置し続けています。今回は世界トップクラスのポーカープロ、ダニエル・ネグラヌのポーカーにおける戦績とその戦略について解説します。
※為替レートは2021年12月17日終値の1米ドル=113.670円としています
知名度No.1のポーカープロ、 ダニエル・ネグラヌ
ダニエル・ネグラヌは1974年にカナダのトロントで生まれたプロポーカープレイヤーです。2021年12月時点でのポーカー世界大会における獲得賞金ランキングでは第3位に位置しています。
ただし ポーカープレイヤーとしての知名度で言えば、ポーカーショーやテレビコマーシャルに出演しているため、世界ナンバーワンの存在です。これまでにポーカートーナメントなどで獲得した賞金総額は4517万5428米ドル(およそ513億5090万円)です。
ダニエル・ネグラヌの戦績
1997年7月23日から直近の2021年11月20日までに参加したポーカートーナメントの試合のなかで、ダニエル・ネグラヌが優勝したポーカートーナメントの数とその賞金は以下のとおりです。カッコ内はその年に参加したトーナメントの数です。
優勝回数 | 最高獲得賞金 | |
2021年(42) | 2回 | $700,000 |
2020年(37) | なし | $26,643(WSOP 9位) |
2019年(24) | なし | $1,725,830(WSOP 2位) |
2018年(15) | なし | $300,000(2位) |
2017年(21) | なし | $936,000(2位) |
2016年(11) | なし | $96,670(15位) |
2015年(11) | 1回 | $966,000 |
2014年(13) | なし | $8,288,001(WSOP 2位) |
2013年(14) | 2回(WSOP 2回) | $1,087,160 |
2012年(16) | なし | $790,304(2位) |
2011年(6) | なし | $1,000,000(2位) |
2010年(17) | 3回 | $32,000 |
2009年(14) | なし | $817,035(WSOP 2位) |
2008年(16) | 2回(WSOP 1回) | $300,708 |
2007年(11) | 1回 | $120,000 |
2006年(16) | 3回 | $755,525 |
2005年(7) | なし | $384,322(3位) |
2004年(15) | 4回(WSOP 1回) | $1,770,218 |
2003年(14) | 2回(WSOP 1回) | $100,400(WSOP) |
2002年(24) | 8回 | $69,160 |
2001年(18) | 4回 | $35,260 |
2000年(0) | − | − |
1999年(17) | 4回 | $210,000 |
1998年(10) | 4回(WSOP 1回) | $169,460(WSOP) |
1997年(6) | 3回 | $38,400 |
こうしてみると、相当数のトーナメントに参加していることがわかります。そして自身が獲得した最高賞金額は2014年におけるWSOPの2位の828万8001ドル(およそ9億4200万円)です。
ダニエル・ネグラヌの7つのルール
ダニエル・ネグラヌはポーカープレイにおいて、7つのルールを守ることを徹底していると語っています。
- 自分のハンド(手札)は不必要に公開しない
- ほかのプレイヤーの小さな変化に気づくこと
- ブラフでの駆け引きはしないこと
- 弱いハンドで勝負を続けない
- 強いハンドを持っている時に勝負することを印象づける
- 目的から逆算してなすべきことを決める
- 失敗から学ぶこと
ここからダニエル・ネグラヌの哲学を推測することができます。ブラフをしないかわりに勝負する時は常に強いポーカー役を持っている、そう周知することで確実に勝利を手にすることができます。ただし近年はこのプレイスタイルには変化が見られます。
また目標を定めてからそこに到達するための計画を立てるタイプであることも、このルールから伺い知ることができます。
そしてダニエル・ネグラヌと言えばその気さくさが有名です。テレビで中継されるトーナメントでも笑顔が絶えず、またよく他のプレイヤー達と冗談を言い合って和気あいあいとプレイしている様子。元々の性格なのかもしれませんが、楽しんでポーカーをプレイをする事も彼のモットーなのではないでしょうか。
ダニエル・ネグラヌのプレイスタイル
ダニエル・ネグラヌのプレイスタイルはもともと、駆け引きによりほかのプレイヤーのハンドを推測するというものです。そして自分のハンドが優位な時にのみ勝負し、着実に利益を積み上げるスタイルを確立していました。
しかし近年、オンラインポーカーの普及によりポーカースキルは全体的に向上し、2015年以降はトーナメントでも優勝からは遠ざかっていました。そこでこれまでは行っていなかった「ブラフ」を積極的に取り入れるスタイルに変更し、2021年7月17日には「PokerGOカップ」の「$ 50,000ノーリミットホールデム」で優勝し、70万ドルの賞金を手にしました。
ダニエル・ネグラヌがポーカーを始めたきっかけ
ダニエル・ネグラヌはもともと、ビリヤードのプロを目指していたそうです。しかし15歳の頃にポーカーを学んだことをきっかけに、高校を中退して地元のカジノでポーカーをするようになります。
地元で資金を貯めたあとにラスベガスに拠点を移し、ポーカー プロを目指します。しかし結果的には資金を失って、地元のトロントに戻ります。
その後に再度ラスベガスに移り、トーナメントに参加して勝利するようになりました。
ポーカー役の一覧はこちら⇩。まずは役を覚える事がはじめの一歩。
トーナメントで勝つためのアドバイス
ダニエル・ネグラヌはポーカートーナメントで勝ち上がるためのアドバイスを残しています。まず大事なのは早期にチップを増やすことよりも、テーブルに残ることを心がけることであるとしています。
ポーカートーナメント(ポーカー大会)は時間が経つごとに手数料であるアンティが増加します。そのため、ある程度のチップを確保しておかなければアンティの支払いで手持ちのチップが無くなってしまうことから、多くのプレイヤーは早期に勝負を仕掛けます。しかしダニエル・ネグラヌはそのように焦ってチップを増やす必要はないと説いています。
次に大きな役を作る可能性があるハンドよりも、確実に役が出来るハンドを生かすように勧めています。また強い役が出来る可能性があるハンドを持つ場合には、大きな損失リスクを取りつつフロップを確認するプレイも控えるように述べています。大きなリターンの可能性に賭けて大きなリスクは取るべきではないということです。
ダニエル・ネグラヌのように・・・とまではいかなくても、トーナメントで入賞できるようなプレイヤーになるには勉強も大切です。ポーカーストラテジーのような学習サイトでポーカー戦略について勉強するのもおすすめです。
まとめ
ダニエル・ネグラヌは堅実に勝負をするスタイルのポーカープレイヤーであることがわかります。リスクをとって大きな勝ちを狙うよりも、着実な勝ちを積み重ねるタイプということです。トーナメントでは不利になりがちなこのスタイルでも、実績を残してその有効性を証明しています。
トップ画像:Equipo Unibet from Spain and Portugal, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons